しぼりたてチャイナ

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中国・貴州省の山奥の村で、侗族のおじいさんの家に泊めてもらった 中国大陸【田舎に泊まろう】

 

3年前に中国へやって来た時には、列車のチケットの買い方もろくに知らず、宿の取り方もわからず、まして人のうちに泊まるなど、外国人が中央政府に黙ってそんなことをしたら国外追放されてしまうんだろうな、などという勝手な社会主義的偏見に満ち満ちていた当初の私ですが、ここまでまったく拍子抜けするくらい誰にも相手にされていないので、むしろ物足りなさすら感じているこの頃です。

 

実際、中国では列車に乗るのにも宿へ泊まるのにも身分証(パスポート)で記録が取られてしまいますし、街中ではそこらじゅうに監視カメラが設置されているし、私のような行動の怪しい外国人はどこかへ出かけるときにはしっかりと誰かにマークされているんだろうな、などと神経を尖らせていた当初の私の考えが、今となってはもはやバカバカしく思えるほどです。

 

(とは言っても、ここまで何もなかったからといってマークされていない証明にはならないのですが。。)

 

つまり何が言いたいのかというと、中央政府が私を放牧してくれているおかげで、中国各地で、これから書いていくような貴重なふれあいができていることに感謝したいということと、こういう生のままの飾らない素朴な中国をできるだけいろいろな人と共有したい、ということです。

 

そこで今回は、貴州省の侗族(ドン族)の村を訪れて、一泊泊めてもらった時のはなしをします。

 

 

 

ちょうど中国の作家、沈従文の小説『邊城』(1934年)を読み終えたところで、中国西南部の山奥、霧に包まれた深い谷と、溢れるばかりの河の水に囲まれて素朴に暮らす人々の影が、心に焼き付いていた頃でした。

 

グーグルマップを開いては、重慶湖南省貴州省の山中をつぶさに見てまわり、どこかに時代に忘れ去られた中世の村が埋もれていないものかと探していると、こんな村を見つけました。

 

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こんな村です。育洞村という村です。

 

周辺の幹線道路からは数十キロ隔たっています。

 

いかがでしょうか。この、屋根の不揃いな感じはまず現代化されていないはず。それに河岸に村落が固まっている感じ、これはきっと古くから付近の村の交易の中心地だったに違いない、などと勝手な妄想を膨らませます。百度で検索してみてもろくに情報が出てこないので、村がへたに観光地化されていないこともわかりました。

 

 

どうしても気になるので、今年の4月頭の清明節の休みを利用して、実際に行ってきました。

 

 

思ったよりもアクセスがスムーズすぎる

 

貴州省の省会であり中心都市である貴陽市から育洞村までは、直線距離で約200キロ。間には山岳地帯が横たわっていて、本来なら10数時間バスに乗らなければいけないところが、2014年に高速鉄道が開通したため、村の付近の榕江市まで1時間ちょっとでアクセスできるように。

 

榕江市から村までは小型のバスで2時間ほどなので、中世の村に行きたい者にとっては少し拍子抜けしてしまうようなアクセスの良さでした。

 

 

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貴陽にもうすぐ着陸。標高1100mの高原地帯です

 

貴陽市内でまず腹ごしらえをします。

 

貴州料理は四川料理湖南料理に負けず劣らず、唐辛子をしっかり使います。スパンと直接的な辛さが特徴的です。昆明や広州、深圳などでもよく貴州の人がお店を開いてい流のを見かけますね。

 

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貴陽「腸旺粉」

貴陽グルメ「腸旺粉」です。地元の人がたくさん集結しているところで食べてきました。

 

「腸」とは見ての通り右側の、おそらく豚の腸でしょう。「旺」とは四川料理の「毛血旺」のことでしょう。左側の豚の血を固めた食べ物がそれです。粉とは小麦以外の材料で作った麺のこと?中国各地には多種多様な粉がありますが、ここの粉は雲南の米線と同じ系統の粉でした。

 

周りを見渡してみると、私の頼んだ白い粉ではなく、黄色い麺を食べている人のほうが多かったです。黄色い極細ちぢれ麺は香港でよく見かける「幼麺」に似ていて、なんだかそっちのほうが美味しそうに見えました。

 

右の小皿は大根と昆布のお漬物です。大根の方はとくに桜大根に似た酸っぱい味で、貴州料理の小さな飯店ではよくテイクフリーで大量に用意してあります。

 

 

料理についていろいろ書きたいのですが、グルメレポばかり書いているとなかなか村に到着できません。

 

しかし「腸旺粉」だけではお腹いっぱいにならなかったので、もういっちょ食べることにしました。

 

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「糯米飯」

「糯米」とはもち米のことです。「もち米メシ」と訳すと変な感じですが、中国の南の地域ではよく見かける食べ物です。ただ、場所によってのせるものが違うらしく、貴陽でも注文したら思ってたのと全然違う「もち米メシ」が出てきたのでびっくりしました。

 

まず、お皿に盛る前のもち米が、中華鍋の中で油に浸っていました。食べてみると以外にも油っこくなく、もち米の濃厚な香りと油の甘みがマッチしてクッと食欲をそそります。

それから上に唐辛子がのっていますね。この感じとても貴州っぽいです。しかし唐辛子はまったく辛くありません。あくまで香りつけです。

その唐辛子の下には砂糖と各種香辛料がのせてあります。砂糖ともち米を合わせて食べるという発想は、どこか東南アジアの米食大国ラオスを思わせます。

 

他には日本のたくあんにも似た各種お漬物。それと奥に見える肉片は豚の脂身を火にかけて脂分を抜いた、カリカリの残りカス。これがいつまでもカリカリ香ばしくてうまいうまい。はじめに食べた「腸旺粉」の上にものっていました。

 

これ、沖縄にもありますね!「あんだかしー」というおやつです。沖縄には中国南部的発想の料理が多いので、これも中国の影響を受けているのかもしれません。

 

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もち米が油に浸っている

 

貴州の「もち米メシ」は一皿でいろいろな味が楽しめるので、これは混ぜないで食べたほうがええやつですね。そうすると一口ごとに変化する味わいを楽しめます。

 

ちなみに私はたまごかけご飯も醤油をかけた後はしっかり混ぜない派です。

 

 

さて、なかなか本題の育洞村に到着できません。

 

 

村の最寄の高鉄駅へ

腹ごしらえを済ませたら、貴州東駅から高鉄に乗って、榕江というところに向かいます。

 

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高鉄榕江駅のホームより

 

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榕江名物「巻粉」

駅を出たところで、事前リサーチをしていた榕江市の名物、「巻粉」を見つけてしまいました。

 

お米の皮をくるくると巻いたところに様々な調味料を加えて食べる料理です。くるくるの中には何も入っていません。辛くて、酸っぱくて、香ばしくて、なかなかヘビーな味わいです。

 

「扎耳根」という草の根っこも入っていました。四川や雲南一帯で食べられる、ドクダミに似た強烈な香りを持つ草です。

 

この「巻粉」ですが、ネットで事前リサーチした際に、「地元に帰ったらまずこれ食べるよね」などと書かれていました。こういう地元民に愛されている料理を食べて回るのが、旅行をするときの醍醐味の1つであります。

 

 

大都市貴陽は漢族の多く住む地域ですが、榕江市は侗族などの少数民族が多い地域。なので料理の感じも少し違ってきます。二箇所とも同じ貴州省に属するとはいえ、貴陽には貴陽の、榕江には榕江の名物があるのです。

 

その榕江でも最強クラスの名物、「牛瘪」については、したの記事をご覧ください。

中国で牛のウンコ鍋「牛瘪」を食べてみた。 - しぼりたてチャイナ

 

 

 

食べ物の話はこの辺にしておきましょう。

私は「巻粉」を片手にバスに乗り込んで、一路育洞村を目指します。

 

果たして山奥に隠された中世の村は見つかるのか。

次回に続きます。

 

続き:

中国・貴州省の山奥の村で、侗族のおじいさんの家に泊めてもらった 中国大陸版【田舎に泊まろう】② - しぼりたてチャイナ